2014年7月14日(月) に行われました、当社社長共同記者発表の概要をお伝え致します。
1.2013年度の回顧と2014年度の展望について
2013年は年明けから船価の底値感から引合いが増え、当社はアベノミクス効果による円高が修正される中、受注を重ねていきました。年後半からのマーケットの持ち直しと投機マネーの流入も相まって、船価も上昇に転じ今年度は過去最高の150隻以上の受注を達成する事ができました。世界全体でも1億総トンを超える受注をしたと言われています。しかしながら、2014年に入りましても春までは堅調に引合いがありましたが、それ以降はマーケットが下落したため様子見に入っている状態です。各社とも2017年から2018年納期を確保しているので、様子見できる状態に入っているのではと思います。
昨年度、当社グループは減産体制を引いたため、93隻の竣工にとどまり、売上げは4,033億円とわずかに減収ながら、コスト低減と、円安に助けられて増益を達成することができました。今年2月には幸陽船渠を吸収合併して広島工場としてスタートしました。(2013年度実績はバルクキャリア81隻、PCC4隻、コンテナ船4隻、その他4隻、422万総トン、718万DWTでした)
2.新造船・修繕船マーケットの現状と見通し
昨年度は、川崎汽船殿及びエバーグリーン殿から14,000TEU型メガコンテナ船を10隻受注し、今年度に入ってスペインのElcano社殿向けに178,000M3型LNG船を2隻受注致しました。どれも日本では初めての船型となり、これからも常にチャレンジする精神を養っていきたいと思います。また、ここへきて邦船オペレーター殿の動きが出てきており、今年は大型バルカー、LNG船、大型コンテナ船の引合いが出ているので、当社も積極的に受注していきたいと考えております。
バルカーにおいては、インドネシアのニッケル鉱の輸出禁止や昨年の中国の造船所への大量発注の余波でスポットマーケットが低迷しています。やはり、一度に大量の発注をすると、マーケットの低迷、船価の下落を生むだけで誰も得はしないため、節度ある発注を期待したいと思います。
3.業績見通しと今後の経営課題について
現在のところ概ね2017年末までの仕事量は確保しています。しかしながら、今後は採算的に厳しい状況が予想され、年初から増産体制に方向転換していますが、建設、自動車産業等の操業アップで人出が思うように集まらない状況で、さらなる生産性の向上を目指します。また、今後ますます競争が激しくなってくると予想されますが、当社との信頼関係を築ける船会社殿との取引を増やしていきたいと思っております。
4.競争力強化に向けた具体的な対策について
今年2月に幸陽船渠を吸収合併して広島工場としてスタートしました。大型コンテナ船の建造において今造グループの協力関係を一層強固にし、資本金も300億円に増資、柔軟な設備投資も可能にしました。一方で、昨年は三菱重工業殿を中心とする日本連合でブラジルの大手造船所への資本参加及びマリタイムイノベーションジャパンへの資本参加等、業界との連携を強めています。今回発表された日本再興戦略の中で外国人技能実習制度の見直しに造船業も入ったのはありがたい事です。緊急の人手不足を外国人で補って地方の就業人口の減少に歯止めをかけて雇用をキープしていきたいと考えております。
5.設備投資の実施と計画について
今年は本社船台での28BCの建造を今秋で取りやめ、1号ドックでの38BC、61BCのプロダクトミックスに転換、あいえす造船にてドックを拡張(212Mx35.5M)して、来春から61BCの連続建造に入る予定です。常石造船多度津工場も来年初めから82BCや61BCを建造する予定で、西条工場ではLNG船の建造に向けた設備投資を着々と行っており、広島工場においては来月から14,000TEUのブロックの搭載が始まります。
6.技術開発や新製品の開発について
昨年6月に就航した風圧抵抗低減、海賊対策を織り込んだ新しい上部構造「エアロ・シタデル」を搭載した「RAGA」がシップオブザイヤー2013を受賞致しました。日頃の若手を中心とした設計陣の努力の賜物と感謝しています。また、全船型に渡ってエコシップへの改良を行い2017年まで受注を重ねる事ができました。今回受注したLNG船はME-GIエンジンを採用して従来のスチームタービンより40%近く燃費性能を改善しております。今後はメガコンテナ船への船型開発に取り組んでいきたいと考えております。
7.人員体制と採用計画について
幸陽船渠との合併により今治造船の従業員は1,426名になり、今年は35名が入社し、来年度は当社で90名を採用するつもりで現在計画中です。
以上