輝かしい希望に満ちた2009年の新春を迎え謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご愛顧を賜り有り難く心より厚く御礼申し上げます。
さて、昨年の造船業界は慢性的な資源インフレによる資機材の高騰や人手不足がありましたが、5月にBDI(バルチック海運指数)が史上最高値を更新するなど、上半期は前年に引続き好調な海運マーケットに牽引されて受注隻数も堅調に推移いたしました。
しかしながら下半期は、米国のサブプライム問題を契機とした金融不安が世界経済に暗い影を落とし始め、8月の北京オリッピック以降、資源や工業製品の国際輸送が鈍化に転じ、9月15日のリーマン・ブラザーズの経営破綻によって欧米はじめ世界中で深刻な金融危機が表面化し、株価の暴落、急激な円高を招いております。
更に、世界同時不況によって個人消費が落ち込み、自動車・電機産業はじめ製造業を中心に企業は業績悪化による大幅な生産調整や人員整理を断行するなど景気後退が深刻な状況となっております。また、急速な貿易縮小により海運マーケットが暴落、BDIは5月のピーク時から僅か半年後には17分の1以下の史上最安値を更新し、韓国・中国の新興造船所の経営破綻などが報じられ、昨年の秋以降は新造船の引合いが全く無い異常な状態が続いております。
このような状況の中、お蔭様で昨年は今治造船グループ8工場におきまして91隻の新造船を建造・引渡すことができました。しかしながら、グループ工場で重大災害が発生しました事は誠に痛恨の極みであり、ご遺族の皆様には改めて深く哀悼の意を表しますとともに、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。また、関係官庁並びにお取引各社、近隣住民の皆様には多大なご迷惑ご心配をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。今後は重大災害の撲滅はもとより「労働災害ゼロ」に向けてグループ全社挙げて徹底した安全対策を講じるとともに、全従業員一人ひとりに安全の再教育、安全作業の指導強化並びに安全に対する意識改革を行い、「安全は全てに優先する」という基本を守り守らせ、労働災害の無い安全な職場作りに全力で取り組んで参ります。
さて、今年の海運・造船を取り巻く経営環境は非常に厳しく、試練の年となることは必至の情勢でありますが、今治造船グループは、今年のスローガンである『日々改革』の旗印のもと、お客様にご満足していただけるよう、常に一歩先をリードする船舶の開発に取り組み、時代のニーズに合った競争力のある高性能・高品質の船舶の建造に邁進するとともに、『船主と共に伸びる』の企業理念のもと、『より良い船造り』を通じて地域社会の繁栄並びに造船業界発展のために尽力して参ります。
本年も、より一層のご愛顧ご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
平成21年1月
今 治 造 船 株 式 会 社
代表取締役社長 檜垣 幸人