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社長記者会見の概要

2023年7月14日(金)に行われました当社記者会見の概要をお伝え致します。


①2022年度の回顧と、2023年度の展望について
2022年度に入ってからも引き続き新造船マーケットは好調で、バルカー、コンテナ船を中心に成約が進んでいきました。しかしながら、人手不足により操業を上げることができず、更なる鋼材価格の値上げに悩まされ、収益の改善には至っていません。秋口から物流の混乱も落ち着きを取り戻しコンテナの運賃も下落してきています。2023年に入って中国のゼロコロナ政策解除による世界景気の浮揚を期待しているところでありますが、6月以降は提示船価と用船マーケットのギャップで様子見に入っている状態です。この秋口以降でマーケットの回復を期待しているところです。
当社の2022年度の竣工量は、66隻、324万総トンと2021年度に比べると総トン数は減少しましたが、売上げは3,764億円と隻数と売上げは伸ばすことができました。利益の方は、資機材の値上げ、為替予約先行によって円安のメリットを受けられず減益となりました。今年度は為替が円安に向かっているため収益改善に向けて頑張っていきたいと思っています。

②新造船マーケットの現状と見通し
2022年度は、日本シップヤードを通じて94隻、459万総トンの受注を獲得し約3.3年分の工事量を確保しました。各種バルカー、コンテナ船、LNG燃料焚き自動車運搬船で受注を進めることができました。今年度の商談は、2027年納期の新造船になりますので、インフレに対応できるような持続的な船価の上昇を図っていきたいと思っています。バリシップでも話をしましたが、2011年に大量建造した船舶が2026年以降にリプレース期に入ってくるにも関わらず、今や世界の造船所が人手不足で操業を上げられない状況に陥っています。我々日本の造船業は、リプレース需要に応えるよう操業を続けていくので、インフレコストに見合う船価提示に理解を示して頂きたいと考えています。

③業績見通しと経営課題について
今年度の業績は、鋼材価格の高止まりと資機材・人件費の値上げが収益を圧迫していますが、円安が続いてくれていますので、何とか利益を確保していきたいと思っています。また、日本シップヤードが誕生するきっかけとなったOcean Network Express向け24,000TEU型コンテナ船が6月2日にJMU社 呉事業所で、また7月12日に当社丸亀工場で竣工しました。この後4隻が年内に竣工していくことになりますが、このようにJMU社との共同設計及び受注案件をどんどん増やして日本の造船業界を牽引していきたいと思っています。
経営課題としましては、やはり若い人が造船業に興味を持っている人が少なく、新規採用がなかなか進んでいないことが問題です。今後の円安傾向を見ると造船は稼げる産業になっていくことを、もっと発信していきたいと思っています。

④競争力強化対策の取り組み方針について
先般、メタノール焚き大型コンテナ船の受注が内定しましたが、今後も新燃料に対応した船型のレパートリーを増やしていきたいです。2022年10月に舶用ウインドラス・ウインチ製造会社の日本プスネス株式会社を子会社化、また、2023年4月に次世代エンジンの開発を目的に分社化した日立造船マリンエンジンへの35%の出資を決めました。加えて7月よりMI LNGカンパニーにてLNG運搬船に関する従来業務に加えて、一般商船の設計業務を開始しました。
このように舶用機器メーカーとの連携を深めることや設計機能を強化することで、次世代船舶の開発を加速化していきたいと思っています。

⑤設備投資の実施計画・進捗状況について
昨年度に西多度津事業部でLNG燃料タンク製作用の設備投資を行ない、モックアップの製作を終え、LNG燃料焚き自動車運搬船用のLNG燃料タンクの製作を開始しました。LNG燃料焚き自動車運搬船は多度津造船で連続建造を始めていますが、今年度からは 丸亀工場2号ドックでの建造を始めるべく、艤装岸壁の増強を行っています。福利厚生としましては、新笠戸ドックに独身寮を建設しましたが、丸亀工場の工作新社屋、設計・事務向け新社屋も建設するべく計画しています。

⑥技術開発、新製品開発への取り組みについて
当社では、LNG燃料焚き自動車運搬船やLNG燃料焚き大型バルカーに加えて、メタノール焚き大型コンテナ船の受注も獲得しました。アンモニア燃料焚き大型バルカーも詳細設計に入っています。従来燃料船においても、船型の改良や省エネ機器の採用によりEEDIにて30%以上の低減を目指した船型開発を行なっています。
また、パワーエックス社と提携して電気運搬船や三菱造船と提携して液化CO2運搬船についても設計を進めています。今後もカーボンニュートラル実現に向けた船型のレパートリーを増やしていきたいと考えています。

⑦人員規模(現行、新規採用状況等)
今年度は65名の新入社員が入社して1,793名となり、全社員の平均年齢は37.7歳となっています。来年も100名程度を予定していますが、採用は非常に厳しい状況が続いています。

⑧韓国・中国の造船業の動向に関する意見
韓国・中国の造船業も人手不足、部品不足で操業が遅れていると聞いています。日本の造船業は契約納期と品質を優先して船主様にご迷惑をかけないように引渡しをしており、アフターサービスにも力を入れていこうと思っております。いずれにしても、日本の造船業・舶用業界が存続できるよう私どもは努力していきたいと思います。

【参考】丸亀事業本部新社屋建設のプレスリリース
https://www.imazo.co.jp/news/230703/

檜垣幸人社長


左から、渡部常務、檜垣清志専務、檜垣幸人社長、檜垣和幸専務、藤田専務


記者会見の様子