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社長共同記者発表の概要

2011年7月19日(火) に行われました、当社社長共同記者発表の概要をお伝え致します。

1.2010年度の回顧と2011年度の展望について
昨年度はCSR適用船による仕事量増加で隻数は95隻(437万GT、740万DWT)の竣工になり、4,332億円の売上げを計上しました。(2009年度実績101隻、442万GT、4,832億円)。 昨年度は急激な円高と鋼材の値上げで減収減益になってしまいましたが、ばら積み船73隻、コンテナ船7隻、PCC5隻、プロダクト船9隻、チップ船1隻を建造しました。
 2011年度は80円台の円高が続いており収益的には厳しいものがありますが、全社あげてコストの低減を図っていき、今年度は103隻の建造を予定しています。

2.新造船・修繕船マーケットの現状と見通し
新造船は昨年の秋までの底堅いバルカーのマーケットを反映して97隻の受注を獲得することができました。年明け以降はケープサイズの低迷が続いており、さらに3月11日の東日本大震災を機に鉄鋼会社、自動車関連会社の操業ダウンが海運マーケットに影響を及ぼし、バルカー、タンカーともに引合いが低迷しています。しかしながら、LNG船マーケットの回復によるLNG船の引合い、大型コンテナ船の引合いが出てきていますが、ほとんど韓国の造船所が受注をしております。この円高では日本の造船所ではとても手が出せないのではないかと感じており、為替は何とかして欲しいと願っています。企業の合理化努力を超えており、日本でのモノづくりを止めろと言っているようなものではないかと思います。

3.業績見通しと今後の経営課題について
現在のところ概ね2014年末までの仕事量は手当てしましたので、下手な赤字受注競争に入るよりコストの低減に集中する方が得策であると考えています。それにしても、年を追う毎に平均船価は落ちて行っていますし、ドル建て部分があるために80円の円高はきついです。鋼材もこれ以上の値上げを受入れる余地がないし、みんな必死で頑張ってもらっています。全ての資機材が国際相場に揃えてくれると、省エネ船の開発能力、品質面から日本の造船所はまだまだ戦えると思います。今後も技術開発、品質の向上を図っていきます。

4.競争力強化対策の取り組み方針について
鋼材や輸入購入品や海外進出した舶用メーカーでドル化できるものは、お互いに話し合ってドルコスト化を図り為替相場による収益のブレを低減していきたいと考えています。あるいは海外進出したい舶用メーカーを支援して国際競争力の保持に協力したいと考えております。

5.設備投資の実施計画と進捗状況について
主な設備投資としては、PSPC対応型の塗装工場を今年度は丸亀工場、幸陽船渠に設置する計画です。また、多度津事業部に今月1,280t型ガントリークレーンを設置しました。
 9月に稼働予定で、ブロックの総組みの大型化を図って参ります。

6.技術開発、新製品開発への取り組みについて

・省エネ塗料
 昨年のBULKに引続き、高速船(PCC)において実船適用して性能検証を行いました。
BULKと同程度(約4%)の省エネ効果が確認できております。

・SCR脱硝装置  (95BC・発電機エンジンの搭載状況)
 窒素酸化物(NOx)のIMO三次規制(80%削減)に対する実機検証の目的から、選択触媒還元方式のSCRを95BULKの発電機エンジンに搭載、現在、運航状態におけるデータを収集中です。舶用工業会が行っている「スーパークリーンマリンディーゼルの研究開発」の一環で、今月27日に成果報告会が行われることになっています。

・LNG燃料RORO船試設計
 将来、採用が期待されるLNG燃料を適用した試設計が各方面で行われておりますが、当社では、160台積RORO船での試設計を行いました。油燃料からメタン燃料に移行することにより、燃料消費量は、54.1ton/dayから40.1ton/dayと26%削減し、環境負荷として、硫黄分(SOx)は、ほぼゼロ、NOxは、約43%減少、CO2は、約35%減少すると推定されています。

・LNG船性能見直し
 幸陽船渠にて建造した154,000m3型LNG船において、スチーム・タービン・システムからスーパー・スチーム・タービン・システムやデュアル・フューエル・電気推進などへの推進プラントの見直しを検討しています。省エネ附加物や省エネ塗料などと合わせて、10%以上の性能改善が出来ると判断しています。

7.人員体制と採用計画について
当社の従業員は現在1,170人おり、20代が483人(平均年齢36.4歳)と若い人が増えてきています。来年も今治造船で38名、グループで60名程度の採用を計画しています。

8.韓国・中国の造船業の動向に関して
最近の大型コンテナ船、LNG船を積極的に受注している韓国造船業に対して、我々日本の造船業は大人しくバルカーを建造するだけの現状です。もっと、日本連合で戦える環境を作って行き、それには政府、銀行も支援体制を組むべきだと考えます。中国造船業は国営造船所が多いために政府の支援が強固です。地域経済の雇用の面から税制の優遇、経済特区の創設など、政府として何か支援体制を考えて欲しいと思います。

以上

左から、藤田均取締役設計本部副本部長、森茂常務取締役、檜垣幸人代表取締役社長、檜垣和幸専務取締役
左から、藤田均取締役設計本部副本部長、森茂常務取締役、檜垣幸人代表取締役社長、檜垣和幸専務取締役
質問に答える檜垣幸人社長
質問に答える檜垣幸人社長